研究概要 |
目的:グリオーマが局所浸潤する過程には多くの因子が関与していると考えられる。我々は3因子,1)Extracellular matrix(ECM),2)proteinase(PN),3)growth factor(GF)に注目し、これらの因子の in vitro,in vivo での発現と局在、発現時期について検討し、グリオーマ局所浸潤の機序解明を目的とした。 実験方法:1.in vitro study:a)mRNA発現の検討。各種グリオーマ細胞を用いnorthern blot法にて3因子の発現を検討する。b)光顕、走査電顕による検討。免疫染色を行い3因子の発現と局在を検討する。2.in vivo study:ラットおよびヌードマウス脳内にグリオーマ細胞を移植し経時的に3因子の局在を検討する。 結果1.in vitro study:a)mRNA発現。7種類のグリオーマ細胞を用いECM(laminin,fibronectin),PN(MMP,TIMP),GF(bFGF,TGF-beta)の発現を検討した結果、各mRNAの発現は細胞により差が見られた。b)光顕、走査電顕による検討。現在一部進行中であるがECMについては全例染色され突起部に染色性が高い傾向がみられた。2.in vivo study:ラット脳内にラットC6グリオーマ細胞、ヌードマウス脳内に浸潤能の高いヒトグリオーマ細胞(U251,IN500)を各々移植し1、3、7、14日後に染色し3因子の局在について検討した。3因子とも24時間後より発現が見られたが、早期発現は移植操作によるものとの区別が困難であった。腫瘍が増大した後期には腫瘍本体よりも腫瘍周辺に3因子の発現が見られた。 結論:グリオーマ細胞の3因子の発現は腫瘍により様々であるが、in vivoでは腫瘍周囲を含めほとんどの因子の発現がみられ、局所浸潤する過程に大きく関与しているものと考えらた。
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