研究概要 |
Microcystic meningiomaは光顕的に多数のmicrocystより構成され,腫瘍細胞がchicken wire様の組織像を呈するmeningiomaの一亜型である。従来,microcyst形成機序に関し,変性として理解されることが多かった。 研究代表者(角田 茂)は,電顕的検索により,本腫瘍のmicrocyst発生機序が変性ではなく,正常クモ膜下腔を構成するarachnoid trabecular cellへの分化であることを提唱し報告した。 今回は,正常クモ膜下腔及び電顕的にmicrocystic meningiomaと診断された腫瘍に対し,GST-π染色を行った。その結果,正常クモ膜下腔内に存在するarachnoid trabecular cellも,microcystic meningioma内に存在するarachnoid trabecular cellもともに,強陽性を示した。 以上のことより,arachnoid trabecular cellは,正常クモ膜下腔において支持細胞としての働きを持つのみならず,解毒作用を有する細胞としての働きを持っていることが判明した。またmicrocystic meningioma内のarachnoid trabecular cellも同様の性格を有していると思われる。
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