研究概要 |
我々は、平成5年度・同6年度において、成猫を用いて意識障害モデルの作成に努めた。意識障害モデルは、1)中大脳動脈閉塞モデル、2)視床破壊モデル、3)中脳破壊モデルの作成に成功した。それらのモデルに対して、平成7年度は、TRH・L-dopaの全身投与、及び末梢神経・頸髄・中脳・視床の電気刺激を行なった。 効果判定は、MRI・脳波・局所脳血流・血液中及び脳脊髄液中のモノアミン(ノルエピネフリン,セロトニン等),ニューロトランスミッター(アセチルコリン,GABA等)の測定にて判定した。1)TRH投与:視床破壊モデル・中脳破壊モデルにおいて、脳波の振幅増大,局所脳血流の改善,モノアミンの上昇を認めた。2)L-dopa投与:視床破壊モデル・中脳破壊モデルにおいて、脳波の振幅増大のみ認めた。3)末梢神経刺激:何れも変化を認めなかった。4)頸髄刺激:何れも変化を認めなかった。5)中脳刺激:中大脳動脈閉塞モデル・視床破壊モデルにおいて、脳波の速波化・振幅増大,脳脊髄液中のモノアミンの上昇を認めた。6)視床刺激:中大脳動脈閉塞モデル・中脳破壊モデルにおいて、脳波の振幅増大,脳脊髄液中のモノアミン・アセチルコリンの上昇を認めた。本研究により、実験的意識障害モデルの作成、及び各意識障害モデルの病態の解明に踏みだせたことは、極めて有意義であった。
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