研究概要 |
ラット大脳皮質知覚領野損傷後組織学的に検討すると同側視床では損傷後14日で急激な変性を生じていた.b-FGFを投与後,視床神経細胞の神経機能の変化を電気生理学的に検討した.組織学的にはb-FGFにて同側視床の退行変性は完全ではないが有意に退行変性は防止できた.しかし,b-FGF投与にて視床神経細胞のsynaptic transmissionはむしろb-FGF非投与群に比べ有意に障害を受けていた.大脳皮質損傷後14日では退行変性に陥っている視床ではマイクログリアと考えられるPCNA陽性細胞の出現を認めた.またラット大脳皮質梗塞モデルを使い,経時的に視床におけるグルコース代謝を検討すると,梗塞後1,7,14日ではグルコース代謝低下を認めるものの28日になると著しいグルコース代謝亢進を認めた.しかし,その時期では視床は著しい退行変性に陥っていた.また大脳皮質損傷モデルと同様に大脳皮質梗塞モデルでは14,28日目にはPCNA陽性細胞の出現を認め,また血管の増生も認めた.また線条体梗塞後,線条体と神経結合を持つ黒質にてグルコース代謝亢進を生じるが黒質神経細胞を電気生理学的に評価すると神経細胞の過興奮は認めずむしろ神経機能は低下を生じていた.
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