研究概要 |
1.アクリル樹脂と骨セメントの結合の実験から,骨セメントは重合開始後,可及的に早期に使用することが,アクリル樹脂あるいは重合した骨セメントとの接着力を高めるために有効なことが明らかとなった. 2.接着性セメント(4-METAセメント)と金属の接着性は,金属表面の性状により異なっていたが,表面が平滑な方がステンレス綱でもチタニウム合金でも接着力は大きかった.ステンレス綱の表面平滑なもので約25MPa,表面不整なもので14MPa,チタニウムではそれぞれ20MPa,7MPaの接着力が得られた. 3.金属の4-METAセメントコーティングの有効性の実験では,金属円柱の表面にあらかじめ4-METAセメントをポリマー:モノマーの比1:0.8とし,塗布し重合させることで(プレコーティング),コーティングを行わないものの約3〜4倍の結合力が得られた. 4.生体内に近い条件でこの接着性の劣化が見られないことの確認として,3.と同様に作成した試料を摂氏37度の生理的食塩水に1ケ月間浸漬し,引張試験を行った結果,生食に浸けないものに比べ両金属とも約20%の接着力の低下がみられたが有意差はなかった. 5.家兎体内埋人での接着力の変化は,3.と同様の標本を日本白色家兎の皮下へ3ケ月埋人し,引っ張り試験を行った結果,接着力はバラツキが大きかったが,ステンレス綱およびチタニウムとも約25%程度の低下がみられた. 6.接着力をより強くするため,金属表面の処理あるいはコーティング法の改良を更に検討する必要がある.
|