研究概要 |
申請者等は,抗癌剤の局所動注療法と手術療法の研究を進め,患肢温存を可能とする手術療法を確立してきた。しかし,発症早期からの肺転移の制圧はなお困難であり,新しい免疫療法の確立を目指し,基礎的,臨床的基盤にたった研究を目的としてきた。 平成5年度は,悪性骨腫瘍患者に対する抗癌剤投与経路による免疫機能の変化について研究の評価を行った。 平成6年度は,悪性骨腫瘍患者に対するBRMの抗癌剤との併用や補充療法における免疫応答能について,rIL-2とrTNFを用いて患者の末梢血リンパ球に対するIFN-γの産生能から,応答性について検討を加えた。 患者末梢血リンパ球でのIFN-γはrIL-2及びrTNFの併用により,有意義に誘導され,IFN-γ誘導能は,有病巣群では明らかな病巣を有していない群と比較して高値を示し,誘導能は明らかに認められた。 IFN-γ誘導に伴うリンパ球サブセットの変動については,rIL-2添加群あるいはrTNF・rIL-2併用添加群でCD_3^+,CD_4^+細胞の若干の増加傾向が認められたが,CD_<16>^+細胞に関しては,IFN-γ濃度との相関は得られなかった。 以上の研究成果により,悪性骨腫瘍に対するrTNF・rIL-2併用療法の有用性が示唆されたが,IFN-γ産生に伴う活性化リンパ球の抗腫瘍性については今後の検討課題と考える。
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