研究課題/領域番号 |
05671259
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
丸山 一男 三重大学, 医学部・付属病院, 講師 (20181828)
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研究分担者 |
宗行 万之助 三重大学, 医学部, 教授 (50077583)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1994年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1993年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 一酸化窒素 / 肺高血圧 / 長期吸入 / 肺血管病変 |
研究概要 |
特発性肺腺維症で肺高血圧と低酸素血症を持つ患者の呼吸困難改善を目的として、マスクにより、呼気終末陽圧(5cmH_2O CPAP)をかけた。回路として、20L定常流に1000ppmNOボンベより100ml/分のNOをマスクより1m上流で付加した。マスク直前のNO濃度を化学発光法し測定しNO_2濃度はザルツマン法で測定した。5ppmNO吸入時のNO_2濃度は0.015ppmであった。5ppmNOは動脈圧に変化を与えず肺動脈圧を下げ、動脈血酸素分圧(PaO_2)を改善し、呼吸困難を軽減した。さらに、吸入NO濃度を10ppmに上昇させるとPaO_2は低下し、5ppmに戻すとPaO_2は再度上昇した。一方、肺動脈圧(PAP)、肺血管抵抗(PVR)は、10ppmで更に低下し、5ppmに戻すと、再度上昇した。本患者のNO吸入の目的は肺酸素化能の改善であったため、5ppmで24時間維持した後、NO吸入を中止したところ、PaO_2、PAP、PVRはNO吸入開始前の値に復し、呼吸困難が増悪した。2ppmでNO吸入を再開するとPaO_2、PAP、PVRは5ppmと同等の効果を示した。特発性肺腺維症で、高濃度NO吸入が肺酸素化能をむしろ悪化するという知見は世界初であるので、本例は国際誌(Anesth.Analg.)に掲載予定(correspondence)であるが、従来の報告と同様、急性期の肺動脈圧調節ならびに肺内シャント率の軽減にNO吸入は有効と考えられる。一方、肺高血圧が問題となる疾患では、肺動脈血管の内皮細胞障害や中膜の肥厚という器質的変化を伴う。NOは細胞増殖抑制があるので、長期の吸入NOに肺高血圧における肺動脈血管平滑筋の増殖を抑制を検討した。モノクロタリン誘起肺高血圧ラットでは、全経過中連続してNO吸入を施行しても肺高血圧の発生を抑制することはできなかった。最近、低酸素暴露による肺高血圧では、NO吸入がその進展を抑制すると報告されているので、病因によってNOの作用が異なる可能性があるため更に検討を続ける必要があろう。
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