研究概要 |
星状神経節(SG)には、頭頚部,上肢,上胸部に分布する交感神経節後線維の起始細胞が存在するが、これらの神経節の感覚神経支配に関する詳細な報告はない。 我々は仔イヌを用いてWGA-HRP法により、SGの感覚神経支配について実験的検討をおこなった。塩酸ケタミン,キシウジン麻酔下にSGにマイクロシリンジで2-3%WGA-HRPを4〜7mu〓注入した。40-48時間生存の後に1.25%グルタルアルデヒドと2.5%ホルマリンの混合液にて、経心臓的に潅流固定を行ない 両側の脊髄神経節(DRG)を取り出し クライオスタットで50mumの凍結連続切片を作製し、TMB法で組織化学処理を行った。さらにニュートラルレッドで重染色を行ない偏光フィルターを装着した光学顕微鏡にて各神経節における標識細胞数を一枚おきにカウントした。 〈結果〉標識細胞は両側のC_3からTh_<11>までのDRGに認められ、注入側に多く認められた。特に標識細胞が多く認められたのは、注入側のC_7,Th_<1〜5>のDRGであった。 〈考察〉交感神経性の痛みがこれらの交感神経節で生じているとすればSGに感覚神経の入力が認められることから星状神経節ブロックにより得られる除痛の一部はこれらの感覚神経がブロックされたことによると考えられた。これらの研究結果は、第40回日本麻酔学会総会(麻酔42:S230,1993),日本ペインクリニック学会誌1(印刷中)に発表した。
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