研究概要 |
【方法】基礎疾患を有していない帯状疱疹患者にビダラビン600mg/日(n=29)あるいはアシクロビル500mg/日(n=31)を5日間静脈内に投与し,急性期帯状疱疹痛の治療には神経ブロックを併用して皮疹の治癒,水痘・帯状疱疹ウイルスに対する抗体価ならびに急性期帯状疱疹痛に対する治療期間を重症度別に比較した。 【結果】皮疹の重症度はビダラビン群ならびにアシクロビル群で軽症は7例と6例,中等症は15例と17例,重症は7例と8例であった。年齢,初診までの期間ならびに発症部位については両群に有意の違いはなかった。ビダラビンならびにアシクロビルを投与した群での皮疹の治癒は,重症例ほど治癒は有意に遷延していたが,個々の重症度についてみると有意の違いは認められなかった。水痘・帯状疱疹ウイルスに対する最高の抗体価は,皮疹が重篤な症例ほど有意に高い値を呈しており,重症度に高い相関を示していた。最高の抗体価は両群で有意の違いは認められなかった。急性期帯状疱疹痛に対する治療期間は皮疹が重篤な例ほど有意に長期間になっており,個々の重症度についてみるとビダラビン群とアシクロビル群で有意の違いはなく,部位別についても有意の違いは認められなかった。 【結論】基礎疾患を有していない患者における帯状疱疹患者に対しては,今回使用したビダラビンおよびアシクロビルの投与量であれば,抗体産生,皮疹治癒までの期間ならびに急性期帯状疱疹痛に対する効果に明かな違いはなかった。
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