| 研究概要 |
近年,一酸化窒素の生理活性に関心が高まり,泌尿器科領域においても,内尿道括約筋の弛緩に関与するとした報告がin vitro実験により行われている。本研究の目的は,一酸化窒素が内尿道括約筋機能に果たす役割をin vivo実験において解明することである。
ウレタン麻酔ラットを対象として,等容量性律動的膀胱収縮を起こし,内尿道括約筋の内圧変動にL-Arginine(一酸化窒素前駆物質),一酸化窒素Pathway阻害剤であるL-NMMA,L-NAME,methylene blueが及ぼす影響を検討した。横紋筋弛緩剤を投与し,呼吸をレスピレーターで管理して尿道外括約筋の影響を除き,内尿道括約筋部内圧の変動を測定した。薬剤の投与は腹部大動脈内への動脈内投与とした。薬剤投与前に認められた等容量性律動的膀胱収縮時に起こる内尿道括約筋の弛緩はL-Arginineで促進され,L-NMMA,L-NAME,methylene blue により抑制された。以上から,内尿道括約筋の弛緩にはL-Arginine/Netricoxide/cyclic GMP pathway が係わることが示唆された。
また,徐脳イヌを対象として膀胱伸展に対する反射性膀胱収縮と橋排尿中枢電気刺激に対する等容量性膀胱収縮にL-Arginine,methylene blueの動脈内投与が及ぼす影響を検討した。膀胱伸展に対する反射性膀胱収縮はL-Arginineの投与で抑制され,そのL-Arginineの作用がmethylene blueで拮抗された。橋排尿中枢電気刺激による等容量性膀胱収縮はmethylene blueの投与により増強した。以上から,膀胱機能にもL-Arginine/Nitricoxide/cyclic GMP pathway が関与することが示唆された。
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