研究概要 |
泌尿生殖器悪性腫瘍、特に移行上皮癌を中心に癌抑制遺伝子と接着分子の1つであるCD44の変異について検討を行った。 [平成5年度] 1.泌尿生殖器悪性腫瘍の手術標本から正常と癌組織を一部凍結保存し、一部からDNAを抽出保存した。 2.組織標本で免疫組織染色を、DNAで遺伝子解析を施行した。 [平成6年度] 1.泌尿生殖器癌におけるヒトCD44バリアントの遺伝子解析 (1)移行上皮癌、腎細胞癌患者において、-80℃にて凍結保存した正常および癌組織の手術標本よりRNAを抽出し、それをRT-PCR法を用いcDNAに合成、southern blot法にてその多様性を解析した。 (2)移行上皮癌8例中6例、腎細胞癌5例中5例にCD44の多様性が検出され、接着分子として移転、浸潤への関与と診断的意義が確認された。 2.移行上皮癌におけるヒトCD44バリアントの免疫組織学的解析 (1)移行上皮癌において、-80℃にて凍結保存した正常および癌組織の手術標本を、CD44バリアント(V5,V6,V7,V10)モノクローナル抗体を用いて酵素抗体法で染色、その発現を検討した。 (2)移行上皮癌においてCD44バリアント、特にV6は、基底膜近傍の細胞に強い発現を認めた。 3.移行上皮癌におけるCD44バリアントの尿中細胞での検討 (1-1)-80℃にて冷凍保存しておいた移行上皮癌患者の尿中細胞を、CD44バリアント(V5,V6,V7,V10)モノクローナル抗体を用いて酵素抗体法で染色、その発現を検討した。 (1-2)-80℃にて冷凍保存しておいた移行上皮癌患者の尿中細胞より、APGC法でRNAを抽出し、RT-PCR法でcDNAに合成、southern blot法にてその多様性を解析した。 (2)免疫組織化学的に移行上皮癌患者尿中細胞でCD44バリアントの蛋白発現が確認された。また、RT-PCR産物を用いたsouthern blot法でもmRNAレベルでCD44バリアントを確認した。
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