研究課題/領域番号 |
05671393
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
利部 輝雄 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70048304)
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研究分担者 |
佐藤 昌之 岩手医科大学, 医学部, 助手 (20183387)
松田 壯正 (松田 壮正) 岩手医科大学, 医学部, 講師 (40157326)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1993年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 核小体形成体領域 / 子宮内膜 / 性周期 / 子宮内膜腫瘍 / FISH / 細胞遺伝子 / 子宮内膜増殖症 / 子宮内膜癌 / 子宮内膜日付診 |
研究概要 |
核小体形成体領域(Nucleolar Organizer Regions-NORs)は、リボゾームDNAからリボゾームRNAへの転写の場であり、細胞の増殖、形質転換に関与する重要な核内領域である。正常成熟婦人の子宮内膜は、卵巣の性ステロイドに反応して、増殖・分泌の周期的変化を示している。一方、子宮内膜には前癌病変としての子宮内膜増殖症、悪性腫瘍として子宮内膜癌などの増殖性病変が存在する。子宮内膜の生理的増殖、分化と病的増殖におけるNORs所見を検討し、以下の成績を得た。 【研究対象】月経周期30日型で子宮内膜は正常で他の部位の疾患で子宮摘除をうけた婦人および子宮内膜増殖症、子宮内膜癌で子宮摘除をうけた婦人より子宮内膜147例を収集した。 【研究方法】収集した子宮内膜を20%中性ホルマリンにて固定後、通常の方法でパラフィン包埋を行い、1例につき3μmの連続切片を5枚ずつ作製した。切片の2枚を通常のヘマトキシリン・エオジン(HE)染色、他の2枚をCrockerの原法に従ってAgNOR法により染色した。通常のHE標本にて子宮内膜の日付診および、内膜病変の病理組織学的診断を行った。AgNOR染色標本では1例400個の子宮内膜腺細胞の核についてNOR数をかぞえた。 【研究成績】子宮内膜組織のAgNOR染色所見:子宮内膜腺細胞の核は黄色に染色され、細胞質は染色されないか、または淡黄色に染色される。核内のNORsは径0.9〜5.2μmの点状または円〜楕円形の黒色または暗褐色の領域として観察される。正常子宮内膜でその数を月経周期にしたがってみると増殖期初期:2.40±1.01、同中期:2.75±0.90、同後期に2.93±0.84、分泌期前期:2.3±0.88、同中期:1.9±0.73、同後期:1.8±0.66であった。子宮内膜増殖症および子宮内膜癌におけるNORs数は嚢胞性腺増殖症3.3±0.81、腺腫性増殖症3.6±1.13、異型値増殖症3.8±1.23であり、子宮内膜癌では内膜型腺癌G1;3.9±1.44、同G2;4.6±1.52、同G3;5.4±1.72であった。 【結論】正常子宮内膜腺細胞の核内NORs数は性周期に伴う子宮内膜の増殖分化の指標となることおよび子宮内膜腺腫瘍性病変の悪性度の指標となることが明らかとなった。 なおFluorescent In Situ Hybridizationの基礎的検討を行い、間期核内の染色体異常が観察可能となった。
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