研究課題/領域番号 |
05671421
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
斉藤 武久 (斎藤 武久) 福井医科大学, 医学部, 助教授 (10139769)
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研究分担者 |
久保 富隆 福井医科大学, 医学部, 助手 (20214992)
坂下 勤武 福井医科大学, 医学部, 助手 (10205742)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1993年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | シスプラチン / トランスプラチン / 耳毒性機序 / 外有毛細胞 / カルシウムチャンネル / 代謝物 / 電位依存性Ca^<2+>チャンネル / 代謝酵素 / 単離外有毛細胞 |
研究概要 |
1、シスプラチンによる急性毒性機序の一部は、蝸牛外有毛細胞表面のCa^<2+>チャンネルを阻害し、音受容機構の第一歩を抑制するためではないかという説を我々はこれまでの研究で提唱してきたが、この作用が慢性毒性すなわち細胞死に直接結びつくのかどうかについて、抗腫瘍性および腎毒性がないとされているシスプラチンの異性体であるトランスプラチンを用いて検討したところ、次のような結果を得た。 (1)パッチクランプ法によって、モルモット蝸牛における単離外有毛細胞のCa^<2+>電流に対する両薬剤の影響を調べると、トランスプラチンもシスプラチンと同程度のCa^<2+>電流抑制作用をもっていることがわかった。 (2)In vivoにおけるトランスプラチンの腎毒性および耳毒性の有無について検討したところ、トランスプラチンはシスプラチンの4倍量全身投与しても、腎毒性、耳毒性ともに認められなかった。 (3)以上の結果より、シスプラチンの細胞膜表面のチャンネルに対する作用は、音受容機構の一部を抑制することはあっても、この作用が直接細胞死へと導くことはないであろうと結論した。 2、シスプラチンの慢性毒性機序を解明するために、モルモットの肝臓から分離した酵素分画(S9)とシスプラチン末を反応させてシスプラチンの代謝物を作成し、これをモルモットから単離した外有毛細胞に作用させ、以下のような結果を得た。 (1)シスプラチン代謝物は単離外有毛細胞の生存率を速やかに低下させ、この作用は室温よりも37度で培養した方が高度であった。 (2)S9分画をあらかじめ熱処理したり、S9分画とシスプラチンを反応させる際にNADPを加えないと毒性が発現しなかったことから、S9分画中にはシスプラチンを代謝する酵素が含まれ、この中には酸化酵素が関与していると推測された。
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