研究課題/領域番号 |
05671426
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤田 明彦 京都大学, 医学部, 助手 (50228988)
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研究分担者 |
倉田 響介 京都大学, 医学部, 助手 (80225242)
高橋 晴雄 京都大学, 医学部, 講師 (90171511)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 滲出性中耳炎 / 免疫抑制状態 / シクロスポリン / ミクロホスファミド / ティンパノグラム / 耳管 / 換気チューブ |
研究概要 |
小児滲出性中耳炎は、近年その病因として免疫機構をはじめとした生体防御の面に関心が向けられている。その一方で、中耳は耳管という物理的な防御機構をも備えている。ネコに免疫抑制剤(シクロスポリン、シクロホスファミド)を投与し、実験的な免疫抑制状態を作成したところ、耳管機能が温存された耳については全経過を通して中耳炎の発症はみられず、組織学的にも何等病変は観察されなかった。一方、耳管の圧平衡能を障害した場合には、その結果として中耳に陰圧が生じた耳では、免疫抑制剤の投与により速やかに中耳炎が成立し、かつ数カ月にわたってそれが遷延した。これらの中耳炎のみられた例の中耳粘膜組織像は、著明な炎症細胞の浸潤と粘液産生の二つに代表され、ヒトの滲出性中耳炎の病理像と極めて類似したものであった。また中耳貯留液中には多核白血球の遊走がみられ、細菌感染の存在が示唆された。次に中耳炎成立例で、免疫抑制剤の投与を中止した上で鼓膜切開を行ったところ、中耳炎は消退し、ティンパノグラムはC型(中耳の陰圧を示す)にもどった。このことから今回の実験で作製された中耳炎は、免疫学的防御機構と耳管機能の改善で治癒に向かう可逆的な病態であることがわかった。免疫能を抑制しても、耳管機能が保たれていれば中耳に炎症が生じないことから、中耳が局所あるいは全身の免疫機構に加えて、耳管による感染防御を受けていることが確認された。従って免疫抑制剤の投与や代謝異常などにより易感染性をもつ患者では、耳管機能をあらかじめ評価することが有用であり、必要に応じて換気チューブの留置なども考慮すべきと考えられる。
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