研究概要 |
従来の多くの研究は破骨細胞の前駆細胞から成熟破骨細胞への分化には石灰化骨基質中の成分が極めて重要な役割を担っていることの可能性を示唆している。しかしながら、この成熟破骨細胞への分化に関わる骨基質中の成分の分離ならびに精製に関する知見はほとんど得られていない。今回、石灰化骨基質中に存在する成熟破骨細胞分化誘導因子の分離、精製を試み、以下の結果が得られた。 1、プラスチックシャーレ上では、1α,25(OH)_2D_3を添加しても骨吸収能を有する破骨細胞が形成されないが、石灰化骨基質からのEDTA抽出液を1α,25(0H)_2D_3と同時に添加することにより、骨吸収能を有する成熟破骨細胞が形成されてきた。 2、ウシ大腿皮質骨骨粉10kgからEDTA脱灰処理により総蛋白質1gが抽出された。 3、Superdex 75 prep gradeによるゲル濾過により、この抽出画分から成熟破骨細胞分化誘導生性画分が、分子量約12,000前後に1つの生性ピークとして分画された。 次に、この活性画分Hydroxyapatite HPLCを用い、5mMから120mMまでのリン酸緩衝液(pH6.8)の直線勾配で分画したところ、約60mMの所に活性が認められた。 5、この画分を、0.02M Bis-Tris propane(pH7.0)緩衝液で平衡化したMonoQで、NaCl 500mMまでの勾配によって分画したところ、約NaCl250mMの所に活性が認められた。 6、この画分を、50mM酢酸緩衝液(pH4.0)で平衡化したMonoSに吸着しなかった。 7、最後に、この活性画分を、0.1TFA緩衝液で平衡化した逆相HPLCで、アセトニトリル21%から30%までの勾配によって分画したところ、いくつかの活性ピークが認められた。その活性画分を、SDS-PAGE電気泳動で分子量を確認したところ、M.W.5100前後、M.W.6800前後、M.W.8400前後に単一バンドとして確認された。 現在、N末のアミノ酸配列を調べている。
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