研究概要 |
1.サイトカイン存在下での細菌の増殖:IL-1α、βの添加においてActinobacillusは培養9時間で約1.6-1.9倍、18時間で1.5-1.7倍の発育が促進され、またCapnocytophaga及びFusobacteriumにおいても僅かな促進作用が認められた。ActinobacillusはまたIL-6添加で約1.3-1.5倍発育が促進した。次にActinobacillusに及ぼすIL-1α及びβの濃度を検討したところ1-100ngのIL-1α添加において培養9時間以降に顕著な促進作用が認められた。IL-β添加群においては10ng及び100ng添加群で発育促進が認められた。 2.細菌表層に存在するサイトカインレセプターの解析:ActinobacillusはIL-1α、β及びIL-6と結合し、またCapnocytophaga及びFusobacteriumはIL-1α及びIL-6に対し弱い結合性を示した。Porphyromonas,Prevotella及びEikenellaではサイトカインとの結合性は認められなかった。 3.ヒトサイトカインレセプターとの相同性の比較:細菌表層に存在するサイトカインレセプターがヒトサイトカインレセプターと相同性があるか否かを遺伝子レベルで検討した。IL-R(I),(II)の発現はActinobacillusにのみ認められ、その他のPorphyromonas,Prevotella,Fusobacterium及びCapnocytophagaでは発現は認められなかった。一方、IL-6Rの発現はいずれの供試菌においても認められなかった。 4.細菌に対するオートクリン機構の検討:レセプターを有する細菌がIL-1又はIL-6様生理活性物質を産生しているか否かを検討する目的で細菌培養液中のIL-1α,β及びIL-6活性を測定した。IL-1αの産生はFusobacteriumとCapnocytophagaで僅かに認められたがその値は有意でなかった。IL-1βの産生はすべての供試菌に微量の検出が認められ、中でもActinobacillusは高い値を示した。IL-6の産出はすべての供試菌で認められなかった。
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