研究概要 |
(A)形態学的研究 1.病理組織学的検索 ウイスター系ラット(雌・8週齢)を用い、片側のオトガイ孔部で、下歯槽神経に、Adriamycin 10%,1%,0.5%,0.1%の濃度、10ulを各ラットに注入し、他側には、生食を注入した。24時間後、7日後、21日後に潅流固定し、三叉神経節、三叉神経主知覚核、脊髄路核を、ヘマトキシリン・エオジン染色にて、観察した結果、10%21日後の三叉神経節において、神経細胞体に、空胞変性や、細胞質が喪失し、核が濃縮、崩壊した壊死した細胞が認められた。又、10%7日後の同部位で(10%,21日後でも)、いわゆるchromatolysisの所見を疑わせる細胞が認められ、更に、Kluver-Barrera染色を行なって、観察する予定である。 1%,0.5%,0.1%では、いずれも三叉神経節に変化を認めなかった。又、その他の部位では、いずれの条件のものでも変化を認めなかった。 2.Adriamycinの特異的自家蛍光の特性を利用し、Adriamycinの存在を確認した。 10%,1%,0.5%,0.1%のAdriamycinを注入し、24時間後、7日後に、三叉神経を取り出し、凍結標本を作成し、蛍光顕微鏡で観察した、7日後では、10%,1%に赤橙色の蛍光を認め、0.5%でも極少量認められた。24時間後では、10%,1%に蛍光を認めたため、18時間後、12時間後、を調べると、1%では、12時間後には蛍光を認めず、18時間後のみに認めた。10%では、12時間後に蛍光を認めたが、それ以前では認めなかった。 (B)電気生理学的研究 10% Adriamycinを同様に注入し、24時間後、48時間後、7日後、21日後にオトガイ神経に、電気刺激を加え、三叉神経誘発電位を500回の加算平均を行って記録した。その結果、control群と比較して、24時間後から、振幅の減少が認められ、7日後では、更にそれが著明になり、21日後ではwave formがほぼ平坦化した状態となった。
|