研究概要 |
研究目的:チタンろう付用フラックスの作用を基礎的に調べた。このためチタンとフラックスとの反応を調べ、チタン板上におけるろう合金の広がりにおける元素分布を調べた。実験-1:チタンと溶融フラックスとの反応を調べた。(1)100%LiF,(2)100%KHF_2,(3)70%KHF_2-30%LiF,(4)50%KHF_2-50%LiF,(5)56%KHF_2-14%LiF-30%NaCl・KCL,(6)100%Nacl・KCLの各融液にTi板をに浸漬しチタン板の累積重量減少を900℃で測定した。NaCl・KClは重量比で1:1の混合物とした。また銀ろうの広がりを観察した。その結果(1)いずれのフラックスも、時間とともに累積重量減少は増加した。(2)(6)<(5)<(4)<(3)<(2)<(1)の順にフラックスの反応性は、大きくなった。(3)単成分フラックスでは、LiF,KHF_2の順に反応性は大きいが、NaCl・KClの反応性は小さい。(4)多成分フラックスでは、反応性に大きな差はない。(5)銀ろうの広がり易さは、フラックスの反応性と必ずしも一致しない。実験-2:銀ろう広がり断面における元素分布を調べた。50%KHF_2-50%LiFのフラックスで銀ろうを覆い、チタン板上に置き800℃で25秒、35秒 45秒、75秒と保持した。広がり試料の断面を作製して、X線マイクロアナライザーでろう成分元素の面分析をおこなった。その結果(1)いずれの加熱時間の場合も、銀ろう広がり先端部においては、銅の濃度は高く、銀の濃度は低かった。(2)加熱時間25秒、35秒の場合、広がり先端部内側のろう中では、チタン板との界面で銅の濃度は高かった。このような銀の濃度分布は、加熱時間45秒、75秒の場合には、広がりの中心に近い部分で生じた。(3)加熱時間45秒、75棒の場合、広がり先端部内側のろう中では、銀については上層部で濃度が高く、下層部で濃度が低い。一方チタンは上層部で濃度が低く、下層部で濃度が高かった。銅は全体に濃度が低かった。このような濃度分布を示す部位は、加熱時間25秒、35秒の場合には見られなかった。
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