研究概要 |
1.光透過性シリカ系無機フィラー合成に関する研究 テトラメトキシシラン[Si(OCH_3)_4]とチタンイソプロポキシド[Ti(OCH_3H_7)_4]のゾル-ゲル反応によりTiO_2を0〜20wt%含有するTiO_2-SiO_2を合成した。TiO_2含有量を増加するにつれ屈折率は1.45〜1.55まで増大し,市販のあらゆるレジンベースの屈折率を全て網羅することが判明した。 2.高重合性光硬化レジンの試作 レジンマトリックスにTriethyleneglycol dimethacrylate(TEGDMA),Dimethacryloxyethyltoluene-2,4-dicarbamate(DME-TDC),Bis(1-acryloxy,3-methacryloxy-2-propanetryl)N,N'-tetramethylene dicarbamate(u-4TXA),2,2-bis[4-(3-methacryloxy-2-hydroxypropaxy)phenyl]propane(Bis-GMA)を選んだ。 これらモノマーはその混合比によって,屈折率は1.45〜1.55の範囲に調整できることが判明した。Bis-GMA/TEGDMA/DME-TDC/u-4TXA四元系コ・モノマーをベースとした各種割合のベースモノマーに屈折率の適合したTiO_2-SiO_2粉体を配合することによって光深達性の高い高重合性の試作コンポジットレジンを調整することが可能であった。 試作コンポジットレジンの光重合率は,フィラーとレジンベースの屈折率の差の小さい程大きく,最大重合深さ12mmにも及んだ。 3.光透過性無機フィラー配合試作レジンの物理的性質に関する研究 光透過性の高いレジン重合体程深部重合性に優れ,残留モノマーが少ないことが判明したが,残留モノマー量と機械的強度との間には必ずしも,相関性が認められなかった。換言すると,重合体の機械的強さは,重合性と共にレジンマトリックスを形成する多官能性モノマーの種類とその組成比に大きく左右されるものと考えられることから,これらの点については更なる検討の必要性を認めた。
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