研究概要 |
コンポジットレジンの酸処理象牙質への接着力を改善するために、側鎖に水酸基とアミド基を有し、脂肪族である水溶性のN-ハイドロアルキルアクリルアミド(N-HA)系モノマーの中から水溶性である市販N-methylol acryl amide(MEAA), N-methyl olmethacrylamide(MEMA)および合成N-(2-hydroxyethyl)acryl amide(EAA), N-(2-hydroxyethyl) methacrylamide(EMA), N-(2, 3-dihydroxypropyl)acrylamide(DAA), N-(2, 3-dihy droxypropyl)methacrylamide(DMA)をデンチンプライマー成分として用いた。そして、10%クエン酸-3%塩化第二鉄溶液(10-3)、EDTA、10%マレイン酸ゲル(10%MA)および10%リン酸ゲル(10%PA)で処理した象牙質に、さらにこれらモノマー(10-80wt%)を含むデンチンプライマーで処理した時の、各種光重合型コンポジットレジンシステムの水中浸漬24時間後、1年後および2年後と熱衝撃(2万回、5万回:4℃⇔60℃)後の接着力を測定し、化学構造とデンチンプライマー処理効果の関係を検討した。また、HEMAやGlycerylmethacrylate(GM)を含むデンチンプライマーとの象牙質処理効果も比較検討した。これらデンチンプライマーを用いると接着力は有意に向上し、モノマー濃度が50%前後ものが最も処理効果が大きかった。また、アクリル系モノマーでメチレン鎖の少ないものがその他のものより、やや処理効果は優れていたが水酸基数と接着力との間には顕著な相関は認められなかった。一方、35%HEMAや45%GM含有デンチンプライマーの処理効果と比較すると、アクリル系モノマーの場合はHEMAやGMより処理効果は大きかったがメタクリル系の場合はやや近似していた。また、長期水中浸漬後および熱衝撃後の接着力は総体的に50%MEAA、30%MEMA、35%HEMA処理の順に優れ、N-HA系モノマーがデンチンプライマーの成分として有効であることが判明した。
|