研究概要 |
I.IFN-γ,TNF-αがマウス扁平上皮癌細胞であるNR-SI細胞の細胞接着間分子発現におよぼす影響、そして発現変化によってLAK細胞の接着および細胞傷害活性の変化がどのように影響を受けるか検討し、以下の結果を得た。 1、IFN-γ単独およびIFN-γ,TNF-α併用処理で腫瘍細胞上のMHC class1分子の発現は有意に増強したが、TNF-α単独処理では発現の増強はみられなかった。 2、IFN-γ,TNF-α併用処理で腫瘍細胞上のICAM-1分子の発現は有意に増強したが、IFN-γあるいはTNF-α単独処理では有意な増強はみられなかった。 3、IFN-γ,TNF-α併用処理で腫瘍細胞上のICAM-2分子の発現は増強したが、有意味差はみられなかった。 4、IFN-γ,TNF-α併用処理でLAK細胞との接着およびLAK細胞の細胞傷害活性が有意に増強した。 以上より、LAK細胞の腫瘍細胞に対する接着性および細胞傷害活性は腫瘍細胞上の細胞間接着分子であるICAM-1分子の発現と関係があると考えられた。 II、口腔癌に対するIL-2とIFN-β併用局所投与による局所的、全身的免疫反応の変化についての検討を行い、以下の結果を得た。 1、癌局所へのIL-2とIFN-β併用投与により多数のリンパ球の浸潤が惹起された。また、この浸潤リンパ球の多くはCD3+,CD4+あるいはCD3+,CD8+であり、他にCD56+な細胞も見られた。 2、末梢血リンパ球の細胞表面マーカーの検索から、CD3+,CD8+,CD56+細胞およびIL-2R陽性細胞の比率が投与前に比べ上昇していた。 3、末梢血リンパ球のNK活性は投与前に比べ増強していた。
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