研究概要 |
顎運動記録装置は,K6 Diagnostic systemを用いた.磁気センサーの固定装置は,小児の顔面頭蓋に適するよう改良した.さらに,筋電位の記録と同時に記録するため,K6のdataをアナログで出力するよう改造した.左右の側頭筋前部,咬筋前部に表面電極を貼りつけ,筋電位の計測を行った.ある瞬間における筋全体の活動状態を計測するため,増幅(日本光電:AB-621G)後,エンベロープ積分(日本光電:EI-601G)した値を用いた.顎運動と筋電位を同時に記録するため,デジタルデーターレコーダ(SONY:PC208A)に記録した.患児に右側と左側それぞれでガム咀嚼を20回行わせ,顎運動と筋電図の同期dataを採取した.このdataをパーソナルコンピューター(NEC PC9801)に転送し,顎運動に伴う咀嚼筋電位を解析した.20回のガム咀嚼の記録の内,比較的安定した咀嚼サイクル連続して記録できた10回をdataとして用いた.最大開口位までを1サイクルとし,最大開口位と咬合時までの垂直距離を10等分し,その各時点における側頭筋・咬筋の活動電位を計測した.10回の咀嚼運動の平均値をその患児の値とした. その結果,咀嚼運動の最大開口位近くでは側頭筋の活動が優位であったが,咬合位近くでは咬筋の活動が優位になる傾向を認めた.しかし当初3年の計画であったが,2年で本報告書をまとめているため,症例数が少なく,明確な結論は出ていない. 小児の咀嚼運動を考えるときに,顎関節の評価は欠くことができない小児の顎関節を評価するためのX線診察して,パノラマX線撮影装置のTMJモードを用いることについて,検討を行った.その結果,従来のシュラー法よりパノラマTMJモードのほうが,下顎頭の最頂部を写していた.この結果より,パノラマTMJモードは,充分臨床に用いることが可能であることがわかった.
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