研究概要 |
1.高感度求ジエン試薬の合成 高感度蛍光性あるいは化学発光性の発色団を持つ求ジエン試薬を設計し,その合成を検討した。化学発光性のアクリジニウム基と1,2,4-トリアゾリン-3,5-ジオン環を結合させた化学発光性求ジエン試薬を新たに合成した。 2.蛍光性求ジエン試薬(DMEQ-TAD)を用いた応用研究 (1)DMEQ-TADを用いた血漿中のビタミンD代謝物の蛍光定量法を検討し,25-OHD_3,24,25-(OH)_2D_3並びに臨床診断上最も重要な活性型1.25-(OH)_2D_3(濃度は35-70pg/mL血漿)に関して,正確な蛍光アッセイ法を確立した。世界で初めて活性型1,25-(OH)_2D_3の蛍光定量分析に成功した。DMEQ-TADを用いる蛍光定量法により血中の主なビタミンD代謝物の一斉分析が可能となった。 (2)共役ペンタエン構造を持つtrans-レチノイン酸及びその幾何異性体とDMEQ-TADとの環化付加反応ではいずれも高い位置選択性で一種の付加体を生成することを見いだし,その反応機構を提案した。trans-レチノイン酸は唯一モノ付加体,9-cis-レチノイン酸はビス付加体しか生成しないことが判明し,このDMEQ-TADの反応性はレチノイン酸の蛍光ラベル化に極めて優利であり,現在生体試料中のレチノイン酸の蛍光アッセイに応用している。 (3)アオコが産生する毒素マイクロシスチン類は環状のヘプタペプチドで環外の側鎖部分に共役ジエン基を含む。DMEQ-TADは極性の高いペプチド分子とも効率良く反応し,蛍光ラベル化体を生成するすることを見いだした。現在環境中のマイクロシスチン類の蛍光ラベル化と分析法について検討している。
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