研究概要 |
本研究の成果として大きく分類して以下の3項目を挙げることができる。 1.キラルエノールエーテルを活用する不斉4級炭素構築法に関連して、その適用範囲の拡大(Tetrahedron,50,3103(1994);Heterocycles,37,413(1994))すると共に、スピロ環状化合物不斉合成に関連する応用研究(J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,1994,3441)へと展開できた。 2.キラル環状ジオールを活用する環状および鎖状系における不斉導入法の開発研究としてMichael反応に関連する二種の新手法の開発(Chem.Pharm.Bull.,41.1652(1993));Tetrahedron Lett.,34,4979(1993))、β-ケトエステルの不斉酸化反応の開発(Tetrahedron Lett.,35,3103(1994))、メソジオールへの化学的不斉導入開発(Tetrahedron Asymmetry,4,1767(1993)に成功した。 3.不斉環変換反応研究の展開として分子間反応における基礎的研究(Tetrahedron,49,10501(1993))と共に、同一のコンセプトから不斉スピロ環化反応(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1993,1858)を開発できた。 上記1-3項の成果は総説(Tetrahedron Asymmetry,4,2109,(1993))としても報告できた. このほかにも、配座固定された環状ポリオール類ならびにC_<2->対称性環状ジエンの不斉合成研究(Tetrahedron:Asymmetry,6,55(1995))への展開も進んでおり、環状ポリオール類を不斉源(キラル配位子)とする不斉反応開発の研究については、現在、基礎的データの蓄積を行なっている段階であり、今後の進展が期待される。 これらの研究成果は今回企図した環状多価アルコールの配座制御に基づく不斉構築法の有用性を示すものといえる。
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