研究概要 |
インドネシア産薬用植物Pasak Bumi(Eurycoma longifolia)の細胞毒活性成分の検索の結果,その活性本体物質として多くの新規quassinoid類,squalene型トリテルペンエーテル類,tirucallane型トリテルペン類などを明かにすることができ、ほぼ満足の結果が得られるまで研究することができた。また,このニガキ科植物に近縁であるAilanthus fordii,A.vilmorinianaの活性成分について検索を行い,11位と12位の結合が開裂した新規quassinoid類を単離,構造決定することができた。 南米産ツヅラフジ科植物 Abuta(ブラジル名)の基原植物Abuta concolorとCissampelos pareiraについて、細胞毒活性成分の検索を行なった結果、両植物より新規物質を含む、天然に稀なトロポロイソキノリンアルカロイド類を単離、構造構造決定をすることができた。これらは新規な抗腫瘍活性作用機序が期待されたので、誘導体をも作成し、その抗腫瘍活性を検討した。また、類似化合物であるアザフルオランセンアルカロイド類norrufescine,norimeruteinも、活性成分として単離、同定することができた。これら化合物の白血病性マウスP338培養細胞に対する活性を比較検討したところ、トロポロン環の10位にカルボニル基をもった化合物は、11位にカルボニル基をもった化合物よりも活性が強かった。また、トロポロイソキノリンアルカロイド類の方が、アザフルオランセンアルカロイド類よりも活性が強かったことより、トロポロン環が活性に重要な役割を演じていると考えている。このうち極めて強い活性を示した新規トロポロイソキノリンアルカロイドpareitroponeの50%生長阻害濃度IC_<50>値は,0.8ng/mlであった。ニシキギ科Maytenus属植物の細胞毒活性成分としては、新規トリテルペン類およびその報告例が稀な二量体、セスキテルペンピリジンアルカロイド類などの成分を単離,構造決定した。
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