研究概要 |
本研究に必要な4種の2′-O-メチルリボヌクレオシド類(塩基保護体)ついては、ピリミジンヌクレオシド類は著書らが開発した方法を用いて,3′,5′水酸基をTIPDS基で保護したヌクレオシド誘導体の2′水酸基のメチル化を経由して合成した.プリンヌクレオシド類は最近報告された方法により,NaH-CH_3Iを用いて糖部(無保護)の2′水酸基の選択的メチル化を行ない合成した.これらヌクレオシドは常法に従い、5′水酸基のDMTr化,3′水酸基のホスホルアミダイト化によってオリゴヌクレオチド合成用ユニットとした. 本研究で用いたアンチセンスオリゴヌクレオチド2種(DNA4merと2′-O-メチルRNAのキメラ体)と標的RNAオリゴヌクレオチドは核酸自動合成機で合成し、それらのハイブリドの配列は以下のものである.下線は2′-O-メチルRNA,括弧内はDNAである. I)↓II)↓5′G U G G A G A U G A C 3′ 5′G U G G A G A U G A C 3′ 3′C A C(C T C T)A C U G 5′ 3′C(A C C T)C U A C U G 5′ これらのハイブリドに大腸菌RNaseHを作用させると期待したように上記矢印の位置での特異的切断が観察され(著者らの既報の方法論),ハイブリド(I)は(II)より切断されやすいことがわかった.なおアンチセンス体としてDNAオリゴマーを用いると切断は4箇所(-A-G-A-U-G-)であり,切断率の高かった部位(-A-G-,-A-U-)を上記のようにキメラ体/RNaseHの標的とした.現在,(I)におけるキメラ体の2′-O-メチルRNA部分にチオリン酸残基を有するオリゴマーの合成とそれを用いるRNaseH反応を検討している.チオリン酸の導入は修飾核酸であるキメラ体の核酸分解酵素の作用に対する抵抗性を増強させると考えられる.
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