研究課題/領域番号 |
05671823
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
合田 栄一 岡山大学, 薬学部, 助教授 (20028814)
|
研究期間 (年度) |
1993 – 1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1994年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1993年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 肝細胞増殖因子(HGF) / サイクリックAMP / EGF / PDGF / aFGF / プロスタグランジン / 遺伝子発現 / ヒト皮膚線維芽細胞 / TGF-α / TGF-β / ヒト肝細胞増殖因子 / コレラトキシン / フォルスコリン |
研究概要 |
肝細胞増殖因子(HGF)は、肝をはじめ腎や肺などにおける組織障害後、速やかにその産生が誘導され、増加したHGFがその後の組織再生、修復に深く関与すると考えられている。本研究では、ヒト皮膚線維芽細胞によるHGF産生に及ぼす種々のサイトカインやその他の生理活性物質の作用を調べた。その結果、サイクリックAMP(cAMP)レベル上昇薬及び様々な増殖因子がHGF産生を著しく促進することを見出した。本細胞によって産生・分泌されるHGF量は、コレラトキシンおよびフォルスコリンによって、最大それぞれ対照の8、6倍にまで増加した。HGF分泌はまた、8-ブロモ-cAMPやジブチリルcAMP、プロスタグランジンE_2やエビネフリンによっても促進された。HGF mRNAレベルはこれらいずれの試薬によっても添加後、5、10時間では変化が認められないものの15時間では増加し、以後少なくとも48時間までは高いレベルが維持された。cAMP経路の活性化によるこのようなHGF遺伝子発現並びにHGF産生の促進は、4人のヒトから調整した皮膚線維芽細胞やMRC-5ヒト胎児肺線維芽細胞のいずれにおいても程度には差があったが認められた。一方、HGF産生誘導性増殖因子には、EGF、PDGF、bFGF、aFGF、TGF-αが含まれ、いずれも本細胞の増殖並びにHGF産生を強く促進した。これらのうち二つの増殖因子を最適濃度で共存させると、いずれの場合も相加効果が認められた。上記増殖因子はHGF遺伝子発現も著しく促進し、その効果は添加後9時間以降、少なくとも60時間まで認められた。また、高濃度PMAの前処理によってPKCをダウンレギュレーションさせても、上記増殖因子の効果は消失せず、逆に著しく増強された。従って、増殖因子のHGF産生促進作用には、これらの因子が持つPKC活性化能は関与していないと思われる。cAMP上昇薬や増殖因子によるHGF産生の亢進は、いずれもTGF-β1及びデキサメタゾンによって強く阻害された。以上の結果は、生体内でのHGF産生誘導におけるcAMP増殖因子の役割を示唆するものと思われる。
|