研究課題/領域番号 |
05671831
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高橋 正克 長崎大学, 薬学部, 助教授 (90112383)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1994年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1993年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | モルヒネ / 心理的ストレス / 耐性 / 精神的依存 / 情動 / 抗不安薬 / ストレス誘発鎮痛 / 高架式十字型迷路 / 学習・記憶 / ストレス鎮痛 / オピオイド受容体 |
研究概要 |
身体的侵襲を伴わない心理的ストレス(PSY ストレス、communication box)負荷による鎮痛効果発現ならびにmorphine(Mor)耐性形成の抑制機構を検討した。1)diazepam(DZP).セロトニン系抗不安薬buspiron.ritan-serin.Y-25130によって拮抗され、抗不安作用のないpindolol.抗うつ薬imipramineは影響せず、身体的侵襲を伴うfootshockストレスによる鎮痛効果、耐性形成抑制反応には抗不安薬は無影響であった。PSYストレス反応発現機構にBZP/GABAおよび5-HT受容体系を介した不安・恐怖の関与が推察された。また、PSYストレス反応の遮断を指標とした本法は、抗不安薬の新しいスクリーニング法として有用である。2)formalinによる実験的疼痛動物モデル(マウス)ではMor耐性形成が遅延し、DZP前処置によってこの遅延効果は消失した。疼痛患者ではMor耐性や依存が生じにくいとの臨床知見を支持し、この効果に痛みを伴う情動要因の関与が示唆される。一方、PSYストレスによるMor耐性形成の抑制はオピオイドκ受容体拮抗薬nor-BNIで消失するが、formalinによる効果は影響されず、両機構の相違も示された。3)PSYストレス負荷によって不安増強作用がみられた(高架式十字迷路試験)。この作用は負荷2時間後にはほぼ消失したが、DZP作用は有意に減弱された。このことは、PSYストレス負荷が持続して、情動に何らかの変容を来すことを示唆しており、PSYストレス負荷2時間後のMor投与によっても耐性形成が抑制される成績を裏付けた。4)Mor精神依存形成能に対し、PSYストレスはそれ自身では場所嫌悪効果を示したが、Morの依存形成を増強した(条件場所嗜好試験)。ストレスによる不安・恐怖は、Mor連用による耐性形成を抑制する一方、精神依存形成を増強する可能性が示された。5)耐性形成と共通の機構の存在が示唆される学習・記憶過程に対し、PSYストレスは獲得過程を増強した。
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