研究概要 |
本研究は,簡単なアミノ酸を合成原料として球状3D構造をもつペプチド性超分子構造体の分子機能設計および,その抗体産生や分子認識分子や大腸吸収ドラッグデリバリーシステム用ベクターなどの生物工学的応用を目的とする.これは,構造的特徴から比較的半減期が長いが最終的には分解されることが予想され「身体にやさしい薬」の開発が可能であると考え本研究を企画した. 1.構造体の表面極性を考慮したペプチド性超分子構造体の分子機能設計:L-Lysの両アミノ基を橋頭堡としL-Lysをn回結合させ末端が2^<n+1>個のアミノ基をもつ分枝状超分子構造体のコアに認識配列をもつペプチドを結合し,目的とする極性表面をもつペプチド性超分子構造体を独自の新規分子設計法により構築した. 2.大腸吸収ドラッグデリバリーシステム用ベクターとしてのペプチド性超分子構造体の分子機能設計:C末端が遊離したArg-Arg配列などをシグナルペプチドとした球状3D構造をもつペプチド性超分子構造体を分子設計した.これを現有の反転大腸を用い薬物吸収実験装置を用い,ペプチドのサイズ,吸収率,非分解性などを検討し,最適な薬物ベクターとして(H-RLLL)_8K_4K_2K AAALLLRR-OHの構造体を分子機能設計し創製した. 3.ペプチド性超分子構造体の生物工学的応用:以上新規分枝状超分子構造体の構築によるタンパク質の分子機能設計により,DNAを情報源とする1次配列からの従来の生物工学的方法から脱却できることを確認し総括した.
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