研究概要 |
2′-デオキシシチジンをトリチル化後,低温下,塩化メシルで処理し,得られたメシル体をアルカリ処理すると,3′位の水酸基が反転したリキソ型となる.この水酸基を再びメシル化し,DMF中,アジ化リチウムと反応したところ,3′-アジド-2′,3′ジデオキシリボ体を好収率で与えた.ピリジン中硫化水素を用いて還元すると,3′-アミノ体となり,脱トリチル化により,鍵中間体である,3′-アミノ-2′,3′ジデオキシシチジンを好収率で得た.このものを,N-t-BOC-L-フェニルアラニンペンタクロロフェニルエステルと反応させることにより,N3′-N-t-BOCフェニルアラニル-体を合成した.この化合物は,キモトリプシンにより,N-t-BOC-フェニルアラニンとヌクレオシドを1:1比で生じた.t-BOCを除去したヌクレオシドをアシル化して,N-アセチル,N-ヘキサノイル,N-ベンゾイル体を得た.白血病P388を移植したマウスに対し,これらの新規ヌクレオシドは,MaxILS T/C(%)で,フリーヌクレオシド:100;N-t-BOC:120;N-アセチル:220;N-ヘキサノイル:231;N-ベンゾイル:271と著しいin vivoの延命効果を示すことが明かとなった.予備的検討では,固形癌モデルとしてのルイス肺癌にも有効で,有効投与量の範囲で,薬剤投与群の体重減少は見られず,プロテアーゼにより活性化されることを期待した本研究は期待通りの成果を挙げえたので,その一部を,1993年仙台の癌学会で発表し,また,本年度,薬学会年会(医薬品化学部会)で発表の予定である.
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