研究課題/領域番号 |
05671897
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
山路 昭 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (10093478)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1994年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1993年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 光学異性体 / キラル薬物 / プロパフェノン / 薬物代謝 / α、酸性糖タンパク質 / α_1酸性糖タンパク質 |
研究概要 |
本研究では、不整脈の治療に有用性の高いキラル薬物・プロパフェノン(PPF)を対象として、そのR体とS体の体内動態に生じる差異が要因を、肝ミクロソームの薬物代謝と血清タンパク結合の両面から追究した。 滋賀医科大学病院に受診中のPPF服用中の不整脈患者(22名)より得られた血液試料について解析した結果、血清中濃度はS体>R体の関係にあること、また、R体の消失速度定数および全身クリアランスは、いずれもS体のそれらに比べ約1.5倍高値を示すことが確認された。上記同様の結果は、マウスへのラセミ体PPFの腹腔内投与後にも得られた。PPFの主要代謝経路に位置する5位水酸化酵素反応における立体選択性をマウス肝ミクロソームレベルで検討した結果、R体を基質とした場合の肝固有クリアランスはS体のそれに比べ約1.3倍高値を示したことから、各光学異性体の肝における5位水酸化代謝の差異が体内動態の差異に反映される一因と考えられた。さらに、各光学異性体の5位水酸化代謝の大部分は共通のcytochromc p-450(P-450)種を介して進行するものの、S体の代謝の一部にはこれとは異なるP-450種が関与することも示された。 ヒト新鮮全血あるいは赤血球浮遊液を用いたin vitroでの検討により、血清α_1酸性糖タンパク質(AAG)への各光学異性体の結合率の差異(S体>R体)が、R体とS体の赤血球移行性の差異(R体>S体)に反映され、結果として血清中濃度にS体>R体の関係をもたらす一因となり得るものと考えられた。しかし、PPF服用患者で得られた血清中S体>R体濃度比(0.6〜4.0)の幅に比べ、上記in vitro実験で得られたそれは0.8〜1.3の範囲でしか変動し得ないことから、PPF光学異性体個々の体内動態の差異は、主として肝における酸化的代謝面での立体選択性および関与するP-450種の差異にもとづくものと結論される。
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