研究概要 |
ED-PCR法は、まず溶菌をリゾスタフィンと溶菌液(MgCI2,KCI,proteinase K,Tween 20,buffer)にて行い、プライマー添加後PCR反応を行い、ストレプトアビジン固定化プレートに入れ、PNPP液にて発色させ405nmで測定した。この方法では、用いるプライマーをbiotinとdinitrophenylで2重標識しておく必要がある。プライマーとして、mecA遺伝子、femA遺伝子、femB遺伝子、TSST-1(tst)遺伝子を合成した。100株の黄色ブドウ球菌について、ED-PCR法の結果と、薬剤感受性試験結果(MIC-2000で接種しELISA ANALYZER ETY-96で判定したMICによりoxacillin >4 μg/mlを示した株をMRSAと判定した)を比較したところ、MRSAであった54株全てについて、mecA遺伝子陽性であった。その他のプライマーについては、MRSAでの陽性率が高いもののMSSAにおいても30〜59%で陽性株が存在した。一方、oxacillinでのMICではMSSAと判定された46菌株中5株がmecA遺伝子陽性を示した。これらはcefazolinやcefmetazoleのMICでは>8 μg/mlであり、本質的には多剤耐性菌であると考えられた。mecA遺伝子をプライマーとしたED-PCR法は簡便性、迅速性、正確性からみて従来のMICに代わって細菌検査の基本となる可能性のある検査法である。しかし、黄色ブドウ球菌以外の菌種についてもmecA遺伝子を検出し、薬剤耐性を調査してみる必要があると考えられた。
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