研究概要 |
von Willebrand病(vWD)は頻度の高い先天性疾患であるが、その亜型は多様性に富む。type IIAvWDは常染色体優性遺伝形式をとり、出血時間の延長、血小板粘着能の低下、vWF:AGに比しvWF:RCoの著名な低下を呈し、vWFマルチマーの高分子が欠損する特異な機能異常症である。type IIA2家系の家族の末梢血より血小板と白血球を分離し、各々からtotal RNA,DNAを抽出した。一方vWF遺伝子のexon28にtype IIAの異常塩基構造のclusterの存在することが知られている。exon28部位の遺伝子の異常を同定するためsense primer(s‐4251,s‐4558)とantisense primer(a‐5398,a‐5361)を作成し、nested RT‐PCR法にて増幅した。804bpのcDNAが増幅された。種々の制限酵素の中から既報の異常部位と同様の異常の有無を検出するためHpaII,BstEIIを用いてRFLPを検索した。患者及び異常者はBstEIIの切断部位を欠如しており正常の家族とは異なったパターンを呈した。1家系は更に増幅したcDNA(804bp)をsequenceしたが、増幅した範囲では既報のRFLPと一致した塩基置換が認められたのみであった。もう1家系は現在検討中である。 別の亜型であるplatelet type vWDは血小板膜糖蛋白GPIbに異常があることが推測されている。2家系の分析を同様の方法で行った所、GPIb alpha の1299番目のadenineがguanineに置換されていた。かかる異常は239番目のアミノ酸であるmethionineをvalineに置換することになり、platelet type vWDの発現の病態と関係すると思われた。
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