研究概要 |
大豆タンパク質について、イムノブロット法により特異IgE・IgG4抗体の検出を行い、IgE・IgG4と反応する数種のタンパク質を確認した(平成4年度)。今年度はさらにこれらのタンパク質に対する特異抗体検出率を症状別あるいは年齢別に分析し、多くのタンパク質に対するIgE検出率が、アトピー性皮膚炎(AD)のみの群に比べて気管支喘息を合併している(AD+BA)群で高く、IgG4は全般的に7歳未満群で7歳以上群に比べて検出率が高いという結果を得た。全患者群におけるIgEあるいはIgG4の検出率が高いこと、さらにAD+BA群におけるIgEや7歳未満群におけるIgG4の検出率が特に高いことなどを基準にホエー画分の20KD,58KD,酸沈殿画分の31KD,48KD,78KDの各タンパク質をアレルゲンとして特に重要な意義をもつものと推定した。続いてこれらの各タンパク質を分離抽出してELISA法による抗体値の測定を行った。タンパク質はSDS-PAGEで泳動したゲルからマックスイールドNP(アトーK.K.)を用いて電気的に抽出し、ELISA法は血清20例(対照6、AD群7、AD+BA群7)を用いて常法により行い、最終反応液の490nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダー(日本バイオラッドラボラトリーズK.K.)を用いて測定した。大豆粗抽出液、ホエー画分、酸沈殿画分に対するIgE・IgG4値、ホエー20KD,58KDに対するIgE値を測定した結果、(1)IgE・IgG4ともに対照群より患者群で高値を示し、IgEとともにIgG4の関与も示唆された。(2)AD+BA群では、特にIgE値が高かった。(3)ホエー画分と酸沈殿画分、ホエー20KDと58KDにおける抗体値にはそれぞれ相関が見られ、アレルゲンを特定し難いことが予測された。しかし、全体にバラつき(個人差)が大きいため、例数を増やしてさらに検討する予定である。ホエー20KDと58KDに対するIgG4値、酸沈殿画分の各タンパク質について現在検討中である。
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