研究概要 |
5年度に行った冬季調査結果のまとめと反省をもとに夏季調査の項目を決定して昨年冬季と同じ住戸を対象にして夏季のヒアリング調査と熱環境測定を行った。また,吹き抜けを持つ住戸を5戸(内1件はソーラーハウス)を選定し6年度夏期.冬期のヒアリング調査および熱環境測定を行った。また,昨年度ヒアリング調査の対象住戸と同一構造の住戸約50件の郵送調査を夏季・冬季に行った。 室温の実測データから実生活における体感温度の推定を行うためにはより正確な熱収支量を知る必要があるため,正座位人体と周囲壁面との有効放射面積と形態係数を求める実験を行い,姿勢の違いに体感温度の差を推定をした。 一般住戸の夏期の調査結果ではクーラー使用を控えて通風によって生活したいという要求が満たされない住戸が多い。また冬期調査では30m^2を上回る広いLDK空間でも直接的な寒さの不満は少ないが,こたつ・ホットカーペットで足元寒さに対処する住戸は多く,開放式器具による空気汚染の問題も予想されるが今回は空気質の測定は行っていない。 吹き抜け住戸では夏の通風は有利であるが設計によってはあまり涼しく住めていない。また冬期は電気床暖房により採暖的に生活している2例,かなり寒い1例など十分に寒さを意識した計画はなされているとはいない。空気集熱式のソーラーハウスでは床暖房方式であり,足元の冷えがないために起居様式の季節差も少ない。 今回の知見では初歩的な配慮によって熱環境を改善する手段が見いだされる例が多いので,そのような設計指針を設計者に啓蒙することによる改善が重要であると考えられる。
|