研究概要 |
本研究の成果は概略以下の4項目からなる。 (1)アニオン及び非イオン性界面活性剤のイオン性吸着剤への吸着特性・・・水溶液からのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(NaDBS)及び非イオン性界面活性剤のイオン性吸着剤への吸着を平衡吸着法により検討したところ,各イオン性吸着剤への疎水性側鎖の導入効果はNaDBSの吸着では顕著に認められ,疎水性側鎖が長くなるにつれて,吸着能は急激に増加したが,逆に吸着量は減少した。また非イオン性界面活性剤ではかならずしも吸着能及び吸着量の増大をもたらさず,一般に両者とも疎水性側鎖が長くなるにつれて減少する傾向を示し,吸着剤の構造や導入アルキル鎖の長さによった。 (2)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのイオン性吸着剤への吸着に及ぼす非イオン性界面活性剤の添加効果・・・非イオン性界面活性剤存在下でのイオン性吸着剤へのNaDBSの吸着を検討し,吸着におよぼす非イオン性界面活性剤の混合割合,エチレンオキシド付加モル数,及びイオン性吸着剤の疎水性側鎖の影響を考察した。 (3)アニオン及び非イオン性界面活性剤混合系のイオン性吸着剤への吸着特性・・・イオン性吸着剤によるNaDBSの吸着に及ぼすポリオキシノニルフェニルエーテルとポリオキシラウリルエーテルの影響を比較すると,後者のベンゼン環を含まない界面活性剤の方が吸着量の減少割合が少なかった。さらに混合吸着の機構を明らかにした。 (4)アニオン及び非イオン性界面活性剤混合系の非イオン性吸着剤への吸着特性・・・非イオン性吸着剤として活性炭及び合成高分子吸着剤を用い,NaDBS及び非イオン界面活性剤の吸着を平衡法により検討し,種々の条件下での処理効果の基礎的データーを得た。これらの結果より活性炭及び合成吸着剤に対する混合吸着の機構を考察するとともに,廃水処理に関する基礎知見を得ることが出来た。
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