研究課題/領域番号 |
05680037
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
家政学
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
グュエン ヴァン チュエン 日本女子大学, 家政学部, 教授 (80175322)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 大豆 / 変異原性 / 抗変異原性 / 加熱 / Mutagenicity / Desmutagenicity / Soybean |
研究概要 |
ヒトの発がんの主な原因は、食品中に存在している化学発がん物質であることは、疫学的研究などによって明らかにされた。これらの発がん物質の多くは突然変異物質(変異原性物質)でもあり、突然変異物質との密接な関連性が示唆された。従つて、食品中の変異原性物質を除去したり、抑制したりすることによって、がんの予防につながると考えられる。そこで、本研究は食生活に欠かすことのできない大豆をとり上げ、食品の加工・調理の条件下で加熱し、その変異原性および抗変異原性について検討した。 変異原性および抗変異原性は、Ames'testにより調べた。生の大豆、浅く炒った大豆、きなこ程度に炒った大豆、深く炒った大豆の4種を調整し、それぞれ、水、メタノール、エーテル抽出し、試料とした。 大豆抽出物は、加熱条件下にかかわらず、変異原性を示さなかった。一方、変異原物質Trp-P-1に対する抗変異原性は、深く炒った大豆の水、メタノール抽出に認められた。また、大豆抽出物を、透析により高分子と低分子に分けて、抗変異原性試験を行った結果、水抽出深入り大豆には、高分子にも低分子にも抗変異原性が認められた。 また、大豆水抽出物については、消化・吸収後の変異原性及び抗変異原性についても調べた。消化前、吸収後の水抽出深入り大豆には、抗変異原性が示された。 さらに、変異原性物質をTrp-P-1に対する加熱大豆の抗変異原性の発現機構も検討した。活性化体Trp-P-1に大豆抽出物を反応させ、活性化体Trp-P-1に対する抗変異原性を調べた。そして、P-450酵素群の活性に対する影響を調べるために、P-450酵素群を大豆抽出物と反応させてから、Trp-P-1の活性化に用いた。その結果、加熱した大豆抽出物のTrp-P-1に対する抗変異原性は、P-450酵素群の活性化を阻害するためではなく、活性化体Trp-P-1の変異原性を抑制することによって発現されることがわかった。 生の大豆には抗変異原性が発現されず、深入り大豆には抗変異原性が発現されたが、これは、大豆の加熱処理による成分の変化や成分間反応によって生成された物質の作用のためと考えられる。 今回の実験結果は食生活とがんの予防のために大いに活用できると期待される。
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