研究概要 |
日常生活におけるさまざまな行動時の心拍数を実測して,心拍数を基準にしてそれらの行動・動作時の平均心拍数を求め,心拍数と酸素消費量の関係から各種の行動のエネルギー消費量を推測しようと考え,女子学生(19〜21歳)を被験者として検討を試み,次のような結果が得られた. 1.対象被験者の体位は,身長158.9±4.5cm,体重51.5±5.3kgであり,平均12(2000)年を目途とした20歳女子の体位推計基準値に近似しており,血液成分の検査値からみても健康状態は良好と判断された.1日の総心拍数は,108228±9809beats/day,1日平均心拍数は75.2±6.8beats/minであった. 2.1日の生活内容を時間量で分けると,生活必需行動に費やした時間は平均10時間18分で,そのうち睡眠は7時間23分(1日の約30%)を占めていた.生活行動を19項目の行動の心拍数からみると,睡眠と自転車および一部のスポーツを除いて,座位作業の行動の平均心拍数は75.0〜84.0beats/min,座位と立位の両動作のある行動で平均心拍数83.0〜88.0beats/min,立位動作の行動で平均心拍数87.0〜95.0beats/minとなり,心拍数の変動範囲は75.0〜95.0beats/minの約20beats/minに包括されることが明らかになった. 以上より,日常生活におけるさまざまな行動時の平均心拍数が明らかになれば,VO_2/HR法により得られる心拍数と酸素消費量の関係から,それぞれの行動時のエネルギー消費量が容易に推測できる.したがって,本方法により,性別,年令別のデータが蓄積されれば,現代の生活を反映した日本人の新たなエネルギー消費量のめやすが示されるものと思われる.
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