研究概要 |
平成5年度の研究目的は,様々な観点からフェミニニティ・コントロール規定を検討することである。次の4点から考察された。(1)スポーツにおける性判定基準の問題,(2)名誉毀損とプライバシー侵害の危険性,(3)インフォームド・コンセントの有無,(4)等しい尊敬と配慮を受ける権利。上記の考察から,現行規定には多くの問題点があり,以下のような結論が出された。 性を確認する調査は,医学的,生物学的レベルの極限まで探究できるとしても,スポーツでは,その必要はない。スポーツにおける男女の区別は,医学的,生物学的判断と倫理的傾倒や判断の両方で行うことが適切である。故に,現行のフェミニニティ・コントロール規定は「寛大さ」に基づいた倫理的傾倒や判断を考慮すべきであると結論づけた。 平成6年度は,前年度の成果を受けて,大学生(250名)を対象とし,「フェミニニティ規定に関する調査」を行った。調査内容は,(1)競技スポーツを男女別に分けること,(2)規定の必要性,(3)検査方法,(4)性転換選手,(5)性染色体異常選手についてである。 この調査結果全体から判断すると,男女別競技の実施には賛意を示しているとは言え,性染色体異常選手の排除には問題があるという意見が多いことが判明した。この規定の改廃には,さらなる議論の積み重ねが必要であることが示唆された。
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