研究概要 |
リズミカルな運動や舞踊的表現運動が心身に与える影響について、主として実験的方法によって考察を試みた。第1年目(平成5年度)は(1)国内.国外の関連文献の収集、(2)フォークダンス曲や踊りの伴奏音としてしばしば用いられる音楽および運動の伴奏としてはほとんど用いられない音楽を対象として、それらの聴音時または聴音しながら簡単な足踏み動作を行った場合の、生理心理的応答(心拍数,呼吸数,脳波,GSR)と動作特性及び心理特性(不安傾向、気分)について検討するものであった。特に音楽の影響については、速度やリズムの違いが生理心理的に異なる影響を与えるものであることを確認したが、今回の研究を通して興味ある知見がいくつか得られた。(A)女子中学生と女子大学生では音楽についての好みが異なること、(B)同じ速度(MM126)で、ともにフォークダンス曲であっても3拍子の曲に対しては中学生・大学生ともに心理的に不安感を持ったり、ぎこちない動作をしたり、あまり好まれない傾向がみられ、3拍子リズムの馴染みにくさが確認された。第2年目は精神障害者(今回は分裂病とした)を対象として、これらの音楽の影響について脳波的観察を試みたが、(A)どのような音楽であっても脳波はわずかに速波化の傾向にあった。(B)特に実際にダンスをした経験のあるフォークダンス曲や歯切れのよいディスコ音楽ではこのような速波の傾向は一層著明であった。すなわち、運動が誘発される音楽によって、一般には徐波傾向ある分裂病患者の精神活動が賦されることが認められた。 さらに、言語刺激によるイメージングでは「ふんわり温か」と「いきいきさわやか」に関しては、呼吸数と心拍数に相違が認められた。実際にボディワークを行った時の脳波は徐波化の傾向が認められ、リラックスして心地よい気分になっていることが確認された。
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