首都圏に位置する一私立文系総合大学(D大学)の本年度新入生650名を対象にエイズの知識に関する実態調査を入学直後の1994(平成6)年4月に、保健体育科目の授業を利用して行なった。 調査はエイズの感染や予防、病像についての知識を問う質問紙によるもので、質問の内容は既刊のエイズ教育関連の文献に記載されたものを参考に作成した。解答は、YES、多分 YES、NO、多分NO、分からないの5つから選択させ、AIDS予防知識について、その正確さと、確信の程度の両面から検討できるようにした。 その結果、「エイズ日常生活の行為では感染することはない」、「コンドームはエイズ予防に有効である。」等エイズの感染や予防についての質問で8割こえる正解率があったことから、日常生活では感染しない、患者や感染者を差別することの不可など、いわゆる「たてまえ」的なことについては、確信を持って正しい回答をしている。しかし、母子感染と遺伝を混同しているものが半数以上いたこと、その他エイズの病像についての知識について正解率が低かったことなどから、その「たてまえ」を実践する際に必要と思われる基礎的な知識について欠如していたり、あいまいであったりする者が多いように思われた。D大学ではエイズ等のSTD(性感染症)予防に関する教育活動を保健体育科目の授業の一環として行なっているが、これがD大学新入生のエイズに関する知識についての入学後の変化についても、同様の質問紙によって調査した。その結果については、現在分析中である。 なお、本研究業績について1994年10月の日本体育学会第44回大会(保健専門分野)と同年11月の第41回日本学校保健学会にてそれぞれ研究発表をおこなった。さらに今回の調査結果が、1995(平成7)年3月31日発行予定の大東文化大学紀要に掲載される予定である。
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