研究概要 |
今年度は,海外進出企業総覧(東洋経済新報社)などの資料を用いて,アメリカにおける日系企業に関するデータベースを作成した.項目は,設立年代,業種,資本金,アメリカ人従業員,日本人従業員,立地都市などである.また,日本におけるアメリカ企業の立地についても,外資系企業総覧(東洋経済新報社)を用いて,立地都市や,設立年代,従業員,業種などの項目でデータベースを作成した.これらのデータベースに計量的解析を加えると共に,日本進出のアメリカ企業とアメリカ進出の日系企業に対して,進出の意思決定,立地戦略などに関してインタビユ-調査を実施した.アメリカ進出の日系企業はデータベースによると3470社ある.業種でみると,日系企業は,小売業,外食業が最も多く(1049社),以下,金属製品・機械・電気機器・自動車(649社),サービス(286社)と続く.アメリカへの進出年代は1980年代以降急増し,特に1985年以降は1932社と全体の6割近くを占める.伸び率でみると,とくに金融・保険業が著しく,1981〜86年には46であったのが1986年〜1990年には152の新規立地をみた.金融・保険業の急増は,製造業や不動産業,サービス業のサポート業務が重要になったことによる.金融・保険業はニューヨーク,サンフランシスコ,ロサンジェルスなどの大都市,しかも都市部にほとんどが立地するのが特徴である.1970年からサンブルトはめざましい経済発展を遂げたが,1970年代後半以降,日本のハイテク産業もこの地帯に新規立地の比重を移したことが明らかになった.一方,日本におけるアメリカ企業の立地は東京が8割を占め,大阪は1割にも満たない.東京では,港区が最も多く,ついで千代田区,中央区であり,都心3区に圧倒的に集中する.特に,金融・保険業は例外なくこの地域に立地する.
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