研究概要 |
平成4年度から小学校で実施されている新設教科「生活科」の活動において,栽培活動に適した野菜の種類や栽培方法の開発と,栽培活動の指導に優れた能力をもった教師の育成に関する研究を行った。 栽培活動に適した野菜に関する研究では,何種類かの野菜を比較栽培した結果,栽培の難易性,成長変化の速度,収穫期の収穫量などの点でミニトマトなど5種の夏野菜が適していることを明らかにした。また,栽培園が確保できない学校での栽培方法として,野菜の鉢植えの方法について,栽培容器,土壌条件,肥料,栽培品種などについて比較研究し,その結果,腐植土をいれたプランターを用いてミニトマト,キュウリなどを栽培すれば,露地植えに近い成長過程や収穫量が得られ,栽培活動として可能なことが明らかとなった。 一方,生活科の栽培活動について優れた指導力を持った教師を育成するために,教員成課程における生活科教育法の内容に,野菜の栽培実習を取り入れた。栽培実習では,栽培準備の畝造りから始め,5種類の野菜を種蒔きから収穫期まで栽培させ,成長過程を観察させた。また,収穫祭の実習も行った。野菜の栽培実習を通して,学生達は,野菜の栽培に関する知識や技術を体験を通して習得するとともに,植物を育てることのおもしろさ,野菜を収穫することの楽しさ,生命力のすばらしさ,自然の偉大さなどについて感動し,野菜を育てることに強い関心を持った。この研究から,生活科の栽培活動に強い意欲と高い指導能力をもった教師を育成するには,栽培実習が不可欠であることが明らかになった。
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