研究概要 |
角田(1991)の世界の130言語の語順表は19パラメータ(Q_1,Q_2,...,Q_<19>)からなる語順のデータベースである。このデータベースを用いてアジア・ヨーロッパ地域に限定した階層クラスタ分析と130言語全部を用いた階層クラスタ分析によって、この語順の1パラメータ Q_2.名詞と側置詞(側置詞とは前置詞・後置詞の総称)の語順が a.前置詞をもつ言語 b.前置詞をもたない言語(後置詞をもつ言語と側置詞をもたない言語) によって世界の言語をほぼ2分しているという知見を得た。従来より、側置詞が語順による言語の分類において重要な指標であることが指摘されてきたが、無側置詞言語(前置詞・後置詞ともに持たない言語)については他の語順とは無関係なものとして扱われてきた。ここでは無側置詞言語を含めて、このパラメータQ_2(2次のベクトル)を固定し、その他の語順の18パラメータに関して条件付き確率p(Qi|Q_2)(i=1,3,4,...,19)を求めることによって、先ずQ_2と強い相関関係をもつパラメータを抜き出し、さらにその中からそれぞれが相互に関連しているパラメータを選別する。関連性の尺度として を用い、2式を満足するk,jを求めた。ここでNは標本数。その結果、ほぼ半数の10パラメータがa,b型言語として統計的に文法構造を規定していると仮定することができると思われる。今後、シミュレーションによる数値実験をはじめる予定である。
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