研究概要 |
本研究では、計算機網の分割問題を網に対応するグラフG=(V,E)を分散環境に適した条件Cを満足するようにk個の連結なグラフG_1,G_2,...,G_kに分割するものと定義する。条件Cとしては次のようなものを考慮する。 (C_v)各Gi(1≦i≦k)がそれぞれ指定された点を含み、指定された個数の点(または辺)を含みそれぞれ点を共有しない。 (C_e)各Gi(1≦i≦k)がそれぞれ指定された点を含み、指定された個数の点(または辺)を含みそれぞれ辺を共有しない。 いずれも分散環境における耐故障性を考慮している。また、(C_V)、(C_E)において指定された点の条件を取り除いたものを基無指定と呼ぶ。ここではまず、(C_V)条件に対する問題はグラフがk-連結なら解を持つことを示した(文献(1))。また、(C_E)条件に対する問題はグラフがk-辺連結なら解を持つこと、及び基無指定の場合分割数と辺連結度関係を明らかにした(文献(4))。さらに、k=3の場合にはいずれの問題に対しても効率的なアルゴリズムを示した(文献(2))。これらの結果は従来の結果を真に拡張したものになっているだけでなく応用範囲が広く、耐故障性の高い路線割当の効率的な構成に利用できる(文献(3)(6))ことを明らかにした。 計算機網に対応するグラフの生成木(全ての点を含む木)を求めることは辺集合の分割と考えることができ、その網に対する効率的な通信はある条件を満たす生成木を用いて行われるが、ここでは与えられた点がその木の中心となるような生成木を求める理論上最も速いアルゴリズムを示した(文献(5))。また、この結果はこの会議において最優秀論文賞を受賞した。
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