研究概要 |
本研究では,カメラパラメータの連続的な変化によって得られる多重カラー画像を対象に,安定で信頼性の高い情報を抽出するための統合アルゴリズムの開発と,得られた高信頼性情報の利用について検討を加えた.カメラパラメータとしては絞りとフォーカスに着目し、多重絞りカラー画像の解析と多重フォーカス画像の解析を行い、さらに多重フォーカス画像における遮蔽エッジの光学的性質を明らかにした。平成5年度および6年度の2年間の研究によって得られた成果をまとめると以下のようになる。 1.多重絞りカラー画像の解析 (1)安定で信頼性の高い色度および明度情報の抽出する方法として、絞りの変化に対して線形性が高く明度が高い色ベクトルを選択するアルゴリズムを示した。 (2)照明光の色度の推定、およびエッジのボケ幅の変化から物体距離の推定が可能であることを示した。 2.多重フォーカス画像の解析 (1)直線エッジモデルに基づいて多重フォーカス画像のボケの性質を明らかにした。 (2)ボケによる明度変化分をフォーカス軸方向に累積したaccumulated defocus画像のゼロクロス点としてエッジ点が安定に抽出できることを示した。 (3)エッジ点周辺のフォーカス軸方向のボケ変化を表すspatio-focal画像を用いて合焦フォーカス位置を高精度に求めるアルゴリズムを示した。 3.遮蔽エッジの光学的性質の解析 (1)レンズの光軸に垂直な平面上の表面エッジのボケ解析を前提とした「たたみ込み積分によるボケモデル」に変わって、遮蔽エッジのボケ解析に適用可能な「逆投影によるボケモデル」を提案した。 (2)遠距離物体の表面放射輝度分布が遮蔽エッジ付近で一様である場合には,遮蔽エッジは近距離物体上の表面エッジと同じ性質の明度エッジとして観測されることを示した。 (3)遠距離物体上の遮蔽エッジ付近に表面エッジが存在する場合には,遮蔽エッジと表面エッジのボケが相互干渉し明度変化に局所的な山や谷を生じる場合があることを示した。
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