研究概要 |
ニューラルネットの学習モデルとしては,Hebb学習がよく知られている。これは基本的には,ニューラルネットを構成する要素間の各結合の強さが,それに関与する2つの要素が同時に活性化するときに強化されるというものである。これに対して,筆者は,通常のHebb学習以外に,その逆のメカニズム(反Hebb学習)の存在を仮定すると,ニューラルネットに種々の機能を持たせることができることに気づき,理論的検討を開始した。 はじめに,Hebb則および反Hebb則に従う線形ニューラルネット・モデルに対して,詳しい数学的解析を行った。その結果,同一モデルのパラメータを少し変えるだけで,ニューラルネットに,主成分分析ノイズフィルタ,新寄性フィルタの3種類の機能を獲得させることができることが,数学的に証明された。また,計算機シミュレーションによっても,その妥当性を確かめた。 さらに,モデルを修正すると,ブラインド信号分離と呼ばれる機能を持たせることができることを明かにした。このモデルを実際の音声信号に適用し,複数の音源の分離ができることを確かめた。
|