研究概要 |
本研究では,文章理解手法の具体的な応用課題として,論文・技術資料などの論理的な文章の作成を支援するシステムの研究を行った.このシステムは,接続詞などの表層表現をキ-として,文のタイプを判断し,拡張文脈自由文法による解析をチャート法により行って,文章構造を判定する. あいまいさを含む解析結果を使用者に提示するユーザインタフェースをエディタNEmacs上に作成した.筆者は表示された文章構造を見て,自分の意図した構造が現れなかった場合には,もう一度文章を読み直し,問題があれば改訂を行う. 作成した構造解析プログラムおよび文章改訂支援のためユーザインタフェースを,論文作成の熟練者(博士後期学生,教官)および初心者(卒論学生)に使用してもらい,性能評価を行った.次に,同様の改訂作業を熟練者および初心者に手作業で行ってもらい,プログラムを利用した場合との比較を行った. これらの実験,調査結果から,初心者の文章は,1文当りの最大語数・文字数が熟練者のものに比べかなり大きい,並列などのあいまい接続表現・関係が比較的多い,1文1段落の場合説明が不足していることが多いことが分った.また,熟練者による改訂作業は早期の稿であるほど接続関係に注目していることが分った.改訂実験からは,文章構造を表層表現に基づいて解析した結果をユーザに提示することで,ある程度の改訂支援が可能であることが分った.
|