研究概要 |
本研究では,自由曲面形状を特徴付ける性質を我々が理解できるように曲線網パターンおよび色分布により可視化し,それによる形状評価法を確立する.さらに,指定された性質や特徴を有する曲面形状の生成法を考案する.これらを一貫した理論体系の上で明らかにするものであり,その成果は実用面でも有用である.平成5年度,6年度の研究により,以下の成果を得た. 1.曲面固有の性質を表す量の定義と曲面評価との関係の明確化:曲面の固有の性質として曲率パターンの特徴を抽出し,その可視化法として,「曲面固有稜線」を定義した.また,この考え方を,曲面上に定義した環境に依存した特徴量に拡張し,光源や視点に関連した量の「環境依存稜線」を定義し,固有稜線との関係を解析した.次いで,曲面の美的評価に重要な要素である,周囲環境の曲面への「写り込み」の特徴を可視化する手段として,格子映像線およびその稜線を定義し,その性質を明らかにした.これにより,曲面の特徴表示と評価が系統的に行えるようになった. 2.与えられた性質を持つ曲線曲面の生成:曲面評価において,面法線の方向と曲率の変化が重要であることが分かった.そこで,これらを拘束条件とした曲面生成問題の解決として,(1)縮閉線に基づく曲率変化の滑らかな曲線の生成,(2)(1)の生成曲線およびそれから生成した曲面上の幾何学的量の制御,(3)曲面の生成,と言う方式を考案し検証した.縮閉線を,直接,2次有理Bezierおよび3次Bezier曲線で指定することにより,欲する曲率プロファイルを持つ曲線を生成できるようになった.さらに,これらの曲線の評価と曲面生成への適用を行った.これにより,部分的な曲面は構成できるようになった. 3.プロトタイプシステムの開発と評価:曲面形状の特徴を安定して求め,それらを可視化するシステムを作成した.これに,新しい観点からのモデルとして,面を中心とする位相モデルを組み込み,位相情報との結合を図った.さらに,2.に関する新しい試みとして,レンダリング図の自動解析を目的としたプロトタイプを試作した.
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