研究概要 |
砕波の衝突によって引き起こされる直立構造物の主要な破壊形態として,滑り・転倒などの提体移動によるもの,衝撃波圧の局所集中による部材せん断破壊,および壁部材の変形を伴う繰り返し疲労破壊の3形態があげられる.これまでの砕波衝撃波圧と波力の殆どの研究は,直立壁体を剛体として取り扱ってきた.本研究では,砕波衝突により壁体が弾性変形することによって衝撃波圧特性がどの様に変化し,また壁体変形がどの様な砕波荷重条件の下で発生するかを,模型実験によって検討した. 壁体の弾性変形により衝撃波圧(波力)特性に,衝撃波圧の低減とその作用時間が増大するなどの変化が生ずることが認められたが,基本的な特性は剛壁体の場合と殆ど変わらないことが確認された.そこで,壁体への作用衝撃波圧と波力は剛壁体の場合とし,その載荷によって壁体の弾性変形が最大となる条件の検討を行った.その結果,最大波力だけでなく,衝突時の壁面前面水深の効果を考慮した壁体の固有振動周期と最大波力の作用時間とがほぼ一致する.荷重条件であることが見い出された.一方,壁体の局所せん断破壊を発生する最大衝撃波圧は静水面直下付近に発生し,その発生確率は対数正規分布により記述しうることが明らかとなった. 局所的せん断破壊と壁体弾性変形破壊をもたらす砕波衝撃波力の特性は,単発型と減衰振動型とに分けられ,その発生機構の特徴は衝突時に波面と壁面間に封入される空気塊量である.そこで,砕波衝撃波力のモデル化のために,最大衝撃波圧の鉛直分布とその発生確率,および封入空気量との結合確率など衝撃波力の変動性に関係する統計諸量の変動特性が解明された.
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